PS事業紹介 / POメッセージ
プログラムスーパーバイザー(PS)事業紹介
プロフィール
- 1978年3月
- 東京大学医学部医学科 卒業
- 1980年6月
- 東京大学医学部神経内科 医員
- 1985年7月
- アメリカ合衆国 エール大学 postdoctoral fellow
- 1987年7月
- 東京大学医学部神経内科 助手
- 1999年4月
- 東京大学医学部神経内科 講師
- 2003年4月
- 近畿大学医学部神経内科 主任教授
(2012年10月~2014年9月 医学部長)
(2016年8月~2019年8月 日本末梢神経学会理事長)
(2016年9月~2019年9月 日本神経免疫学会理事長)
- 2020年4月
- 現職
(2020年4月~2024年3月 独立行政法人地域医療機能推進機構本部 理事)
事業紹介
難治性疾患実用化研究事業(以下、本事業)のプログラムスーパーバイザーを務めている楠進です。
我が国においては、「希少性」「原因不明」「効果的な治療方法未確立」「生活面への長期にわたる支障」の4要件を満たす希少難治性疾患を対象として、難病対策が講じられており、2015年の「難病の患者に対する医療等に関する法律」(平成26年法律第50号)の施行に伴い110 疾病が指定難病として難病医療費助成制度の対象となり、2021年には 338 疾病まで拡大されています。これらの難病の克服のためには、治療法開発のための基盤技術開発研究、研究基盤確立研究、医薬品開発研究等の推進が必要です。
本事業は、希少難治性疾患を対象として、病因・病態の解明、画期的な診断・治療・予防法の開発を推進してそれらの克服を目指すものです。厚生労働省および難治性疾患政策研究事業の研究班とも相互に連携し、実用化を担うAMEDの役割として切れ目無く実臨床につなげるため、AMEDが推進する6つの統合プロジェクトの内、医薬品、医療機器・ヘルスケア、再生・細胞医療・遺伝子治療、ゲノム・データ基盤、疾患基礎研究の5つの統合プロジェクトを跨いで、研究開発を推進しています。
2023年度中には本事業の研究開発をもとに3件の薬事承認がなされるなど、着実に成果が生まれつつあります。本成果報告会は、2023年度における研究実施内容および成果についての発表の場ですが、研究者や企業の方の情報交換の場としても活用いただき、更なる研究の発展に寄与できれば幸甚です。また、患者さんとそのご家族の皆様にも、本事業および各研究開発課題についてお伝えして、理解を深めていただければと考えております。
これまでに引き続き、本事業では基礎研究から実用化まで一貫した医療研究開発を強力に推進し、1つでも多くの研究成果を1日も早く患者さんとそのご家族の皆様のもとにお届けできるよう努めて参ります。今後とも、本事業への皆様のご理解とご支援をお願い申し上げます。
プログラムオフィサー(PO)メッセージ
プロフィール
- 1977年3月
- 東京大学農学部畜産獣医学科卒業
- 1981年4月
- 三共株式会社入社
ケルン大学薬理学研究所客員研究員
薬効薬理研究所長
第一生物研究所長
生物医学研究所長
- 2008年4月
- 麻布大学獣医学部研究科薬理学研究室教授
- 2019年4月
- 株式会社セプトサピエ 取締役
- 2024年4月
- 現職
メッセージ
学生時代に指導教官から与えられた骨格筋・運動神経の研究がうまくいかず、試薬しか使わない基礎研究に興味が持てないと教授に相談したところ、「折角ここまでで頑張ったのだから、もう少しねばって学位論文にまとめなさい。君には筋ジストロフィーのような疾患に関する研究テーマがよかったかもしれない。製薬会社の研究所で創薬研究をやってみてはどうか。」と諭されました。
恩師のアドバイスに従って就職した製薬企業での創薬研究が思いのほか面白く、結局、大学に転職するまで27年間勤めました。決して平たんな道のりではありませんでしたが、いくつかの医薬品開発の成功を実体験することもできました。創薬の現場で得た2つの教訓は、(1)一人の研究者の頭の中からでてくるアイデアを医薬品として仕上げるには、企業、臨床医、患者、行政の多くの人たちの協力が欠かせない。(2)創薬の成功確率は極めて低いので、失敗要因を探すより成功確率を挙げる大胆なチャレンジが重要である。
わが国では製薬ベンチャーが育ちにくい社会風土のためか、大手製薬企業が興味を持たない医薬品、特に難病治療薬の実用化研究は大学の研究者が主体となっています。これを「製薬企業がやらないから主体にならざるを得ない」と否定的にとらえるか、「アカデミア研究者が創薬研究の主体になれる(ノーベル賞も取れる)チャンス」と肯定的にとらえるかは、結果に大きな影響を与えるでしょう。私自身はAMED難病事業にPOとしてかかわる中で、意欲的でチャレンジ精神にあふれた数多くのアカデミア研究者と触れ合うたびに、内心、大きな手ごたえを感じています。また、筋ジストロフィーの課題にコメントを求められるたびに、学位取得を機に離れてしまった骨格筋・運動神経の研究分野に恩返しできる機会をもらったと感謝しています。
プログラムオフィサー(PO)メッセージ
プロフィール
- 1978年
- 東京大学医学部医学科卒業
- 1978年
- 東京大学医学部附属病院小児科研修医
- 1979年
- 静岡県厚生連遠州総合病院小児科医員
- 1982年
- 東京都立清瀬小児病院腎内科医員
- 1989年
- 東京大学医学部附属病院小児科助手
- 1985年
- Harvard大学Boston小児病院研究員
- 1988年
- 東京大学医学部附属病院小児科助手
- 1989年
- 東京大学医学博士
- 1991年
- 東京大学医学部附属病院分院小児科講師
- 2000年
- 東京大学大学院医学系研究科小児医学講座小児科教授
- 2003年
- 東京大学医学部附属病院副院長(2006年3月まで、2007年4月から2011年3月まで)
- 2011年
- 東京大学教育研究評議員
- 2012年
- 独立行政法人国立成育医療研究センター理事長
- 2014年
- 東京大学名誉教授
メッセージ
難治性疾患の約6割は遺伝子の異常によるとされます。最近の調査によると、ヒトの遺伝子数は26,000以上、遺伝性疾患は9,600以上、明らかにされた病因遺伝子は約6,300とされ(OMIM, 2022年4月)、いずれも毎年増加しています。この様に原因遺伝子が実に多岐にわたる難病に対して、AMEDの難治性疾患実用化研究事業では様々な治療法開発のためのアプローチが行われ、優れた成果が生み出されており、難病に苦しむ患者さんにとって大きな希望となっています。
難病に対する様々な治療法開発の中で、現在再生医療や再生・遺伝子治療が大きく期待されています。英国や米国では現在、再生・遺伝子治療への研究開発投資額の多くが遺伝子治療に向けられています。遺伝性疾患やがんの治療に遺伝子治療が有効であるとの考え方を反映した結果と思われます。既にその成果が現われ始めており、様々な遺伝子治療製品が英国・米国を中心に実用化され、わが国にも導入されています。わが国では遺伝子治療に関係する基礎・臨床の研究者が少ないこと、ウイルスベクターの改良、新規導入技術の開発、ベクター大量製造技術、ゲノム編集技術、安全性などの面で課題が残されており、これらの課題を解決するための支援体制も不十分な状況にあります。
AMEDの本事業を通じて難治性疾患全般に関する研究が大きく進展することを願うと共に、AMEDと関係省庁との連携が更に図られ、再生医療だけでなく遺伝子治療に関する基礎・臨床面での研究も進展することを願っています。
プログラムオフィサー(PO)メッセージ
池田 貞勝
東京医科歯科大学病院 がんゲノム診療科 教授
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プロフィール
- 2001年3月
- 北海道大学医学部卒業
- 2001年4月
- 聖路加国際病院外科研修医
- 2004年9月
- チルドレンズ ホスピタル ボストン
ハーバードメディカルスクール リサーチフェロー
- 2008年7月
- ベスイスラエルメディカルセンター内科研修医
- 2011年7月
- ミシガン大学 血液・腫瘍内科 フェロー
- 2014年8月
- カリフォルニア大サンディエゴ校 助教
- 2016年3月
- 東京医科歯科大学 特任助教
- 2017年4月
- 東京医科歯科大学 特任講師
- 2019年1月
- 東京医科歯科大学 准教授
- 2024年4月
- 東京医科歯科大学 教授
- 2024年5月
- 現職
メッセージ
最近の医療の進歩はめざましく、難病分野においても画期的な遺伝子治療が実用化されたり、細胞治療やAIを用いての最新の研究開発が行われています。AMEDでは難病克服に向けて、基礎的な病態解明から、シーズの発見、医薬品や医療機器開発までの一気通貫で支援しています。最先端の研究開発を推進し、一人でも多くの難病患者さんが恩恵を受けられるよう、皆さんと一緒に邁進をしてゆきたいと思います。
プログラムオフィサー(PO)メッセージ
稲垣 治
(元)日本製薬工業協会医薬品評価委員会 運営委員会幹事
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プロフィール
- 1979年3月
- 東京大学薬学部薬学科卒業
- 1981年3月
- 東京大学大学院薬学系研究科修士課程修了
- 1981年4月
- 山之内製薬株式会社(後に合併によりアステラス製薬に社名変更)入社
- 2003年1月
- 開発本部
- 2009年10月
- 開発本部開発推進部上席専任理事
- 2009年4月
- 日本製薬工業協会医薬品評価委員会運営委員
- 2010年4月
- 同委員会副委員長
2012年4月~2016年3月 同委員会委員長
- 2021年3月
- アステラス製薬 退社
メッセージ
医療イノベーション推進を目的として技術的な観点を軸にモダリティ別に組織が編成されている第二期AMEDの中で、「難治性疾患実用化研究事業」は疾患の観点から、これまで適切な治療法がなかったり治療選択肢の乏しかった難治性疾患の患者さんに技術横断的に新たな医療の提供を目指す事業と位置付けられます。ここの事業では、疾患研究の成果より生まれた新規治療法のアイディアを薬事承認を経て新たな治療法に昇華すべく、実用化に向けた橋渡し研究が進められています。疾患の新規治療に関する多くの先生方のアイディアがより早く社会実装され患者さんに届けられるようプログラムオフィサーとして事業推進のお役に立てればうれしく思っております。
プログラムオフィサー(PO)メッセージ
プロフィール
- 1974年8月
- 日本医科大学医学部卒業
- 1975年1月
- 日本医科大学小児科学教室 研究生
- 1976年4月
- 国立がんセンター研究所生化学 研修生
- 1978年4月
- 日本医科大学第一生化学 助手
- 1981年9月
- 米国NIH/NHLBI/Clinical Hematology Branch
(Visiting Fellow/Associate, Tenure Track)
- 1991年4月
- 日本医科大学第二生化学 主任教授
- 1992年4月
- 厚生科学審議会厚生省遺伝子治療専門委員会委員
- 1994年4月
- 学術審議会バイオサイエンス部会遺伝子治療臨床研究委員
- 1994年4月
- 日本医科大学小児科 教授(兼担)
- 2003年4月
- 付属病院遺伝診療科 部長
- 2003年12月
- 学校法人日本医科大学 理事
- 2008年4月
- 付属病院ゲノム先端医療部 部長
- 2011年4月
- 厚生科学審議会科学技術部会遺伝子治療臨床研究委員会委員長
- 2014年4月
- 日本医科大学名誉教授
- 2014年4月
- 医薬品医療機器総合機構専門委員
メッセージ
遺伝子治療は副作用の問題でしばらく停滞していましたが、最近では多くの難治性疾患の治療で有効性が明らかになっています。欧米では再生細胞治療をしのぐ次世代の医療技術として開発が進められていて、既に、複数の遺伝子治療用製品が大手製薬企業から超高額な医薬品として販売されています。残念ながら様々な理由で日本の遺伝子治療研究は遅れています。これまでは、遺伝子治療の研究者も、研究費も、企業の数も限られていました。日本では臨床用ウイルスベクターが作れないため、治療効果が期待できる疾患の遺伝子治療が行えませんでした。このような状況を打破し、日本の遺伝子治療研究を活性化するためにAMEDではアカデミアや企業と協力して新しい取り組みを開始しています。
欧米の遺伝子治療に追いつき、追い越すためには基礎研究から医薬品としての開発までの連続した支援が必要です。基盤技術開発事業ではウイルスベクターの製造技術開発や製造施設の整備、大型動物実験施設の整備等を進めています。難治性疾患実用化事業や革新的がん医療実用化事業では、具体的な疾患を対象にした遺伝子治療研究を支援しています。これからは採択件数を更に増やし、若手研究者の参加を促すこと。各事業に分散する遺伝子治療研究者を結集して実用化に向けた情報共有を進めること。日本が先行する再生医療研究分野とも連携して日本独自の遺伝子治療を開発すること等が重要だと考えています。又、臨床開発を進めるうえで不可欠な臨床用ベクターの供給体制についても産官学共同で早急に整備する必要があります。これらの支援活動と研究者の努力により遺伝子治療研究が進み、日本でも多くの疾患の遺伝子治療が実施できるようになることを期待しています。
プログラムオフィサー(PO)メッセージ
成川 衛
北里大学大学院薬学研究科 医薬開発学 教授
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プロフィール
- 1991年3月
- 東京大学薬学部薬学科卒業
- 1991年4月
- 厚生省入省
- 1994年7月
- 米国食品医薬品局(FDA)医薬品評価研究センター(CDER)
生物統計部 客員研究員
- 2006年2月
- 北里大学 博士号(臨床統計学)取得
- 2007年3月
- 厚生労働省退職
- 2007年4月
- 北里大学大学院薬学研究科 准教授
- 2016年4月
- 北里大学大学院薬学研究科 教授
メッセージ
皆さま、初めまして。当事業のプログラムオフィサーを務めています成川衛です。
難病に対する新たな治療法について、その効果と安全性を確かめ、医薬品や医療機器等として医療の場に提供することの是非を判断するための拠り所となるのが臨床試験のデータです。臨床試験は、研究者や企業関係者の日々のご努力と、多くの患者の方々のご協力の上に成り立つものです。また、試験が適正に実施されるために設けられている種々の規制が存在します。
世の中の多くの難病については、未だ満足のいく治療手段が存在しない一方、難病は一般に患者数が少なく、新たな治療法の効果や安全性のエビデンスを示しにくいという特徴があります。私は、臨床試験のデザイン・方法論や得られたデータの解析・評価、薬事や臨床試験に関する規制を専門としています。このような知識・経験を生かしながら、難病を対象とした医療分野の実用化研究が円滑かつ効率的に進み、得られた研究成果をできるだけ早く多くの方々に利用可能とできるよう、難病研究の支援に力を注いでいきたいと考えています。
プログラムオフィサー(PO)メッセージ
西澤 正豊
学校法人 新潟総合学園新潟医療福祉大学 学長
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プロフィール
- 1976年3月
- 東京大学医学部医学科卒業
- 1981年4月
- 自治医科大学神経内科助手
- 1981年9月
- アルバートアインシュタイン医科大学神経学科研究員
- 1987年4月
- 国立精神・神経センター神経研究所室長
- 1990年9月
- 自治医科大学神経内科学講座助教授
- 1999年4月
- 国際医療福祉大学臨床医学研究センター教授
- 2002年6月
- 国際医療福祉病院副院長
- 2003年3月
- 新潟大学脳研究所神経内科学分野教授
- 2010年4月
- 新潟大学医歯学総合病院副病院長(2013年3月まで)
- 2014年2月
- 新潟大学脳研究所長(2016年1月まで)
- 2016年4月
- 新潟大学脳研究所フェロー
- 2016年6月
- 新潟大学名誉教授
- 2020年4月
- 現職
メッセージ
「難病」の概念は、その定義によって変わりますが、原因不明で、治療法が確立されていない疾患であることに、希少であることが追加されて現在に至ります。医学の進歩によって、治療法が対症療法としてでも開発され、「難病」ではなくなる疾患もある一方で、容赦なく進行性であり、進行を抑制することも依然としてできないままの「難病」も、いまだ多数残されています。
「難病」研究は、研究費が配分され、研究者が増えて、活発にならなければ、なかなか進みません。自然科学研究は、研究者が自発的に関心・興味を持つことから始まりますが、AMEDが支援する皆さんの病態研究は、その先に「難病」患者さんの治療法の開発に貢献するという明確なゴールが設定されているのです。このことを常に意識して研究を進めていただきたいと思います。今年度の成果発表会におきましても、皆さんの研究によって、新たに「難病」の克服に繋がる成果が発表されることを大いに期待しております。
プログラムオフィサー(PO)メッセージ
プロフィール
- 1983年3月
- 北海道大学医学部 卒業
- 1983年4月
- 浜松医科大学医学部附属病院 研修医(第三内科)
- 1989年4月
- デュッセルドルフ大学 循環生理学研究所研究員
- 1994年8月
- 浜松医科大学医学部 第三内科 助手
- 1998年12月
- 浜松医科大学医学部 臨床薬理学講座 助教授
- 2005年4月
- 浜松医科大学医学部 臨床薬理学講座 教授
- 2007年1月
- 附属病院 臨床薬理内科長, 臨床研究センター長
- 2016年4月
- 国立研究開発法人国立国際医療研究センター 臨床研究センター長 兼任
- 2018年4月
- 浜松医科大学 理事・副学長
メッセージ
臨床薬理学および循環器内科の立場で難治性疾患実用化研究事業の発足時からPOとして参加させていただいています。難治性疾患の医薬品開発に関して、私自身も今から二十数年以上前、当時は勃起不全治療薬として承認されたPDE5阻害薬の肺動脈性肺高血圧症へのドラッグリポジショニングを試みたことが有ります。肺血行動態や自覚症状に著明な効果が認められ、米国心臓病学会では肺動脈性肺高血圧症へのPDE5阻害薬の応用の先駆けの発表となりました。しかし、当時日本では医師主導治験の制度がなく、適応拡大のため製薬企業にいくら治験の開始をお願いしても聞き届けられませんでした。今振り返ると、製薬企業は市場性が小さいことを危惧したかもしれませんし、また外資系企業であったために日本単独での治験開始は困難だったかもしれません。またこちらが提示したエビデンスもRCTではなく症例報告のレベルにとどまり、企業を動かすほどのエビデンスレベルではなかったからかもしれません。幸い、学会発表などで興味を持って下さった多施設の研究者の方々が同一プロトコールで臨床試験を実施してくれたおかげで、これらの国内データをもとに公知申請に基づき遅まきながら上記のPDE5阻害薬は承認されました。現在では肺動脈性肺高血圧症治療の第一選択肢になっています。頑健なエビデンスをRCTにより提示することは重要ですが、希少性疾患の場合、RCTの完遂はしばしば困難です。症例報告レベルであっても、通常は進行性に症状が増悪する難治性希少疾患に対し、ある医薬品によって客観的に症状や検査データが改善したならば、その観察は優れたエビデンスになりうると思っています。幸い現在は医師主導の治験が可能です。客観性や信頼性の高い評価項目を設定して、N-of-1試験の活用などによって少数のサンプルサイズでも優れたエビデンスが日本から創出されることを期待しています。
プログラムオフィサー(PO)メッセージ
和田 和子
大阪府立病院機構大阪母子医療センター 副院長
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プロフィール
- 1987年
- 大阪大学医学部卒業
- 1987年
- 大阪大学医学部附属病院小児科研修医
- 1988年
- 淀川キリスト教病院小児科
- 1990年
- 大阪府立母子保健総合医療センター 新生児科
- 1995年
- Harbor UCLA リサーチフェロー
- 1997年
- 大阪大学医学部助手
- 2009年
- 大阪大学医学附属病院総合周産期母子医療センター 副センター長講師
- 2017年
- 大阪府立病院機構大阪母子医療センター 新生児科主任部長
- 2024年
- 現職
メッセージ
本年も成果報告会を訪れていだただき、ありがとうございます。難病研究に携わる全ての研究者、医療、福祉、行政、企業の皆様の日頃のご尽力に深く感謝申し上げます。
本事業では、多領域の多くの難病に関わる研究が採択され、活発に研究が行われております。他分野の研究者同士の新たな出会いにより、最新の研究成果や知見を迅速に共有し、互いに刺激し合うことで、難病治療の進展を加速させることが期待されます。
また、医学研究の一つのキーワードとしてPPI(Public and Patient Involvement:患者・市民参画)がいわれていますが、特に難病研究においては、難病当事者とそのご家族のご協力なくしては、研究が成り立ちません。患者様や市民の声を直接取り入れることは、研究の方向性や質を高めるために非常に有効です。患者様の実体験やニーズを理解し、ご協力を得ることで、研究がより実践的なものとなり、結果として効果的な創薬、治療法の開発に繋がることが期待されます。その点においても、この成果報告会が、研究者間のみならず、研究者と患者様、そのご家族、そして市民の皆様の情報共有、意見交換の場となればと願っております。